1~3歳児の幼児。いろいろなことに興味を持つ年齢です。
うっかり目を離した隙に、アイロンで、コンロの火で、あるいはオーブンで、
やけどをしてしまうことがあります。
そんなとき、まず手を出してしまってやけどするのが手のひら。
応急処置はどうすれば?
何科を受診すればいいの?
痕が残らないようにはどうすれば?
さまざまな疑問を、解決していきます。
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幼児が手のひらにやけどするとき
子供は好奇心のかたまりです。
特に、1歳前後から3歳は、動きも活発になり、周りのものすべてに興味があり、
なんとなく危ないと分かっていても
つかんでみたり、触ってみたりしようとするものです。
特に手のひらにやけどを負うのは、以下のような場面が考えられます。
□炊飯器、加湿器など、蒸気の出るものに手を触れたとき
□つけっぱなしのアイロンに触ったとき
□ストーブやヒーターの熱源近くに触れる
□ロースター、コンロ、魚焼きグリルに触る
□食卓にある熱い食べ物、飲み物に手を出し、ひっくり返す
ご家庭で最も大切なのは、
子供の発達段階に応じて、どういう危険があるか予測し、
先回りして予防することです。
しかし、それでもやけどしてしまった場合、
どうすればよいのでしょうか。
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手のひらのやけど、処置の仕方
手のひらに限らず、やけどを負った場合は、速やかに流水で十分に冷やします。
衣服を着ていた場合は無理に脱がせず、衣類の上から流水で冷やすようにしましょう。
流水をあてられない場所にやけどした場合は、
バケツなどに水を汲んで冷やしたり、保冷剤や氷を包んだタオルなどで冷やします。
これは、やけどを負った皮膚を冷やすことで、
これ以上やけどを進行させないため、
そして冷やすことで痛みを和らげるためです。
保冷剤や氷を使って冷やす場合は、
冷やしすぎにより凍傷をおこす可能性もあるので注意して下さい。
15-30分程度流水で冷やした後、医療機関にかかるとよいでしょう。
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手のひらのやけど、病院は何科へ行く?
やけどには深さというものがあり、以下のように分類されています。
まずはこちらをご覧ください。
やけどの深さ
◎1度熱傷
表皮のみ損傷。軽度なやけど。ひりひりして赤くなる。
◎2度熱傷
表皮の下にある真皮まで損傷。赤く腫れて、水ぶくれがおこる。2度熱傷はその程度により、2つに分類されている。
-浅達性2度熱傷
真皮の浅い部分まで損傷。痛みがある。
-深達性2度熱傷
真皮深層まで損傷。あまり痛みがない。
◎3度熱傷
皮膚すべて(表皮、真皮、脂肪層)が損傷。痛みはない。
皮膚は黒色、褐色、または白色。
やけどの深さは、医師でも診断が難しい場合があります。
明らかに1度熱傷である場合を除いては
自己診断せずに、すみやかに医療機関にかかります。
ところで、何科にかかればよいのでしょうか。
広範囲に及ぶやけどや、重症と思われるやけどの場合は、
救急車を呼び、
一般的には皮膚科や形成外科にかかります。
痛みの程度があまり酷くなかったり、
さほど広範囲でない場合は、
簡単な処置であればかかりつけの小児科でよい場合もあるでしょう。
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手のひらのやけど、水ぶくれができたとき
水ぶくれは、やけどの傷口を保護する役割があります。
潰れてしまうと、雑菌などに感染する危険性が高まるので
出来るだけ潰さないよう、清潔なガーゼや包帯で保護します。
かつて、やけどは消毒して軟膏を塗り、ガーゼを貼る方法が主流でした。
しかし、最近はやけどした部分はできるだけ潤わせ、
皮膚を再生させる成分を含んでいる体液のちからで
自然に皮膚ができるよう促す、湿潤療法が良いとされています。
手のひらの部分は、子供も触りやすく
水ぶくれを気にして破ってしまうことも多いと思われますので、
ガーゼと包帯で保護しておくようにします。
湿潤治療については
夏井睦先生の
新しい創傷治療
というページに詳しく書かれてあります。
治療例などもたくさん載っていますので
ご興味を持たれた方は
ぜひ訪れてみてください。
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手のひらのやけど、跡を残さない方法とは
浅いやけどの場合、受傷後6時間が大切といわれています。
とにかく迅速に冷やし、
そしてやけどの程度がわからない場合は
正しく治療を行えるように医療機関にかかりましょう。
また、痕をできるだけ残さない方法として
湿潤療法は有効とされています。
軽いやけどであれば、ラップを使った方法で
自宅でケアもできます。
~ラップを使った湿潤療法の仕方~
・傷口を水でよく洗う、このとき消毒はしない
・傷口より大きめのラップにワセリンを塗り、傷口を覆う
・テープで留める、蒸れないよう完全には留めない
・ラップは毎日交換する(発汗の多いときは数回交換する)
ワセリンが空気を遮断することにより、
痛みを軽減する効果もあります。
雑菌の繁殖を促す側面もあるので、
水ぶくれが破れているなど感染の恐れがある場合は
湿潤治療を行っている医療機関にかかることをお勧めします。
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まとめ
手のひらに限らず、幼児のやけどはまず予防が一番です。
起こりうる状況を想定して、出来るだけ対策を講じるようにしましょう。
それでも起こってしまった場合は、
まず素早く冷却し、医療機関にかかってくださいね。